-与那原通(よなばるつう)-

子供たちが心安らかにいられるように…。

2011年2月28日(月)

少し前、浦添の友人から与那原の『うーじぬふぁー』というところの噂を聞きました。

なんでも、子供と一緒にそこでお話をつくったとか、なんとか???

え? 与那原にそんな場所が?

ちょっと気になったので、早速、見学のお願いをして、お話を伺ってきました。

 

 

玄関その場所の正式名は「靑い丘」治療教育研究所うーじぬふぁー

国道329号からすぐ近く、上与那原の住宅街の中にひっそりとありました。

 

ごくごく一般的な民家の玄関から中にお邪魔すると、知り合いのお家に遊びにきたような感じがしました。

 

ただ、入ってすぐの場所に、大きな絵が飾ってあったり、水晶やグランドピアノが置いてあったりして、単なる普通の家じゃなさそうな(?)雰囲気も漂っていました。なんだか少しわくわくしてくるのはなぜ?

 

 

ここでは、

  • 自閉症などの子供のセラピー
  • 小さい子供のためのわらべうたや昔話の会

などが行われているそうです。

 

 

セラピーというと、なんだか難しい感じがしますが、「セラピー」も「わらべうたや昔話の会」も行っているのは、昔話わらべうたごっこ遊び(自由遊び)の3つが基本だそうです。

 

ちなみに、「ごっこ遊び」とは、貝殻や流木を何かに見立てて遊ぶような遊びのこと。そういえば、みんな(特に女性は)幼い頃、おままごとで「ごっこ遊び」やってましたよね。^^

 

 

室内の様子

▲玄関近くに飾られていた大きな絵と部屋にあったグランドピアノ

 

ちょうどお邪魔した日は、昔話のお話し会が行われていて、10名ほどの子供たちに対して、大人が順番で昔話を披露してました。

驚いたのは、話をしている人が、本も何も見ないで話をしていたこと。そう、「読み聞かせ」ではなく、「語り聞かせ」です。

 

その時、友人が「うーじぬふぁーでは、シュタイナー教育も取り入れている」というようなことをいっていたのを思い出しました。

 

子供と接する機会がほとんどないわたしは、教育関係のことには疎いのですが、シュタイナー教育では、子どもの感性や想像力を豊かにするという考えから「語り聞かせ」を実践しているというのを聞いたことがあります。

 

部屋の中の様子

◀その日の語り手の皆さん(お話し会の後で撮影)

 

特にわたしがいいな〜と思ったのは、視線が本の上にいってしまう「読み聞かせ」とは違って、「語り聞かせ」では、子供たちの顔を見ながら話ができること。 語り手が子供たち一人一人の顔をしっかりと見つめながら、話をしていたのが印象的でした。

 

そして、昔話の合間には、遊び歌(というのかな? 振り付けのついたわらべうた)を皆で一緒にやりました。このとき、少し集中力が落ちてきていた小さな子供たちが、一瞬でとても楽しそうに変化したのがよくわかりました。

やっぱり、子供って、歌ったり、踊ったりするのが大好きなんですね。

 

 

この「靑い丘」治療教育研究所うーじぬふぁーの主宰は川手鷹彦さん。

治療教育者・演出家・著述家という多才な活躍をされている方で、その経歴(※記事最後に掲載)も実に個性的です。

 

著書や翻訳書

▲室内に並べられていた川手鷹彦さんの著書や翻訳書

 

その川手さんに少しだけお話を伺うことができました。

現在、うーじぬふぁーが与那原にあることについては、特に理由はなく、たまたまだったそうです。でも、結果的に首里や西原などからやって来るのに利便性が高い場所ということで、利点を感じているとか。

 

そして、お話し会を体験したわたしは、「こういった昔話やわらべうたが子供たちに何をもたらすのか?」と 当然のごとく感じ、そのことを川手さんに質問しました。

 

でも、

 

そういう風に結果を求めることが違っている。

それをやることによって、どうなるのかということが目的ではなくて、子供たちに楽しんでもらうことが大事。

 

といわれて、はっとしました。

 

別の言葉では「子供たちが心安らかにいられるように」という言い方もしていました。

 

確かに、ある目的のために何か行動するというのは、まさに大人の発想。何かをすることで、当然のようにその結果を求める。 それって、今の社会システムの中で制限された思考の中から生まれる考え方なのかも?

 

そういえば、わたしは幼い頃、絵を描くことが大好きで、暇さえあればいつも絵を描いてました。でも、決して、結果を求めてやっていたことではありません。その時のわたしは、ただ絵を描くことを心から楽しんでいました。そして、それは今思い返しても、本当に幸せな時間でしたね。

 

 

片岡奈帆子さん沖縄以外に、東京やその他の都市でも活動されているため、不在も多い川手さんに代わり、その間、沖縄を担当されているスタッフの一人、片岡奈帆子さん(写真右)にも話を伺いました。

広島の大学を出て、沖縄に来る前は北海道にいたという片岡さん。お話し会では、小さな子から大きな子まで、分け隔てなくすべての子供たちに心を配っていて、みんなから慕われているようでした。

 

片岡さんによれば、今までうーじぬふぁーを訪れた方々のほとんどが口コミで来られているとのこと。(小さな子供を持つお母さんたちの口コミネットワークって、すごい!)

現在、一度に多数の子供の対応をすることは、物理的に難しいけれど、本当に支援を必要としている方の力にはなりたいとおっしゃっていました。

他にも、こちらではシュタイナー教育の勉強会をすることもあるそうです。

 

 

世界的規模の大きな社会変動が起こり、不安定な状況が続く世の中。学校でのいじめ問題や若者が起こす悲惨な事件も目にする昨今、やはり一人の大人として、子供たちの未来を気にかけずにはいられません。

でも、以前、ご紹介した「あかぎ児童館」もそうですが、ここ与那原に、学校以外にもこうして子供たちと真剣に向き合う場所があるということには、救われる思いがします。

 

「靑い丘」治療教育研究所うーじぬふぁーのサポートについてもっと知りたい方、そして、そういうサポートに何か協力ができそうだという方、一度、問合せをしてみてください。

 

沖縄の、日本の、そして世界中の子供たちが少しでも心安らかでいられるように。その小さな第一歩として。

 

写真・文 fuu

 

【 川手鷹彦:プロフィール 】

スイス・ゲーテアヌム言語造形・舞台藝術学院卒業。日欧の子どもの心の保護に携わり、バリ島では2001年から2007年に12度「魔女ランダ」を舞い、ヒンドゥ浄化儀礼の最奥を支えた。

2000年に法務省保護局の依頼で始まった少年少女のための演劇プロジェクト「オイディプス王」等、各地の演劇塾は大きな社会的反響を呼ぶ。また、東京大学、沖縄キリスト教短期大学非常勤講師をはじめ、早稲田大学・立命館大学などでの美的・藝術的な講義内容が好評を博す。

東京で藝術・言語テラピー研究所「青い丘」、沖縄で治癒教育研究所「うーじぬふぁー」を主宰。

著書に『隠された子どもの叡智』、翻訳書にDonna Williams『自閉症という体験』、他。昨秋、物語論+物語集『とらおおかみ 子どもらの心が生んだ物語』を出版。

「治療教育研究所うーじぬふぁー」表札
  • 「靑い丘」治療教育研究所うーじぬふぁー
  • 住所:沖縄県与那原町上与那原363-4
  • TEL:098-944-7334
  • Mail:ujinufa@gmail.ne.jp