-与那原通(よなばるつう)-

人に喜んでもらうこと。それが仕事になっていく ──屋比久 大さん

2016年4月26日(火)

少し前に沖縄の新聞や与那原町の広報誌などでも紹介されていたので、すでにご存知の方も多いと思いますが、プロスタントライダーの屋比久 大さんにお話を伺うことができました。実は、少し前から一度お会いしてみたいな〜と思っていた方です。

 

バイクスタント

▲バイクで華麗な技を繰り広げる屋比久さん

 

プロスタントライダーって、一般人にはあまりなじみのない言葉ですが、実は国内ではまだ目新しい職業といえるかもしれません。その未知の世界に果敢に挑戦している与那原出身の屋比久さん。一体どんな方なんでしょう? 

 

 

バイクとの出会い

 

屋比久 大さん

──オートバイに興味を持ったきっかけは?

 

兄がオートバイに乗っていたので、そこから興味を持つようになりました。16才で免許をとって、それから乗り続けています。

 

──最初に乗ったバイクの排気量は?

 

400ccです。

 

──それ以降、乗り換えたバイクってどのくらいの数になりますか?

 

そうですね、数でいえば30台以上は乗りました。

 

 

──30台以上! それはすごいですね。それぞれ違うバイクなんでしょうか?

 

はい。下はスクーターから上は1000ccのものまで、さまざまです。

 

──さて、ズバリ、オートバイの魅力とは?

 

ん~、外にさらされている感かな。風を感じながら走れるのは、やはり気持ちがいいです。

 

──でも、冬は寒いですよね?

 

そういう風にいう人もいますが、自分は通常の生活で乗っている分には、そう思ったことは一度もないです。雨でも冬でも、それに対応した格好をすれば、全く問題ないです。苦になったことはありません。

 

──普段の生活でもバイクに乗っていますか?

 

はい。乗ってます。でも、車にも乗っていますよ。車にバイクを載せて移動することもありますし。最近は身体を鍛えるために、歩いたりもしています。

 

 

…と、まずは、今の彼の原点でもあるバイクについて、いろいろと質問を投げかけてみました。ま、ここまでの話なら、わりとよくいるバイク好きな人ともいえますが、ここから彼はバイクスタント(スタントバイク)の世界へと進むことになるわけです。

でも、その話の前に、バイクスタントとは何なのか少し説明しておきましょう。

 

 

バイクスタントについて

 

バイクスタントとは別名「エクストリームバイク」とも呼ばれ、バイクを使って、さまざまなパフォーマンスを行うモータースポーツの一種です。エクストリーム(過激な)という言葉からもわかるように、速さや高さなど、過激でスリルも伴うエクストリームスポーツのひとつとしても認識されているようです。

 

その本場であるアメリカやヨーロッパでは競技大会も開催されています。屋比久さんの説明によれば、競技では、フィギュアスケート競技のように制限時間内にさまざまな技を披露して、技の難易度、完成度、さらには演技構成という点から、そのレベルを競い合うそうです。

 

エクストリームバイク競技の様子

 

バイク競技といえば、ダートコースを走って順位を競うモトクロスなどがまずは思い浮かぶ世代ですが(^^;、今では、いろんな競技が生まれているのですね〜。

 

屋比久さんとお話をした後、自分でも少し調べてみたのですが、新しいスポーツゆえか、競技としては、日本では、エクストリームバイク(バイクスタント)、海外ではスポーツバイクフリースタイル(Sports Bike Freestyle)、ストリートバイクフリースタイル(Street Bike Freestyle)などと、それぞれ名称もバラバラで、最新情報に強いネット上でも体系的にわかりやすい説明をしているところは多くないようです。よって、素人がその全体像をきちんと把握するのは、なかなか難しい感じ。

 

とはいえ、そういう細かい部分は置いといて、「エクストリームバイク」で検索すると、さまざまな技を披露している動画や写真が山のようにヒットします。
やはり、人(特に男性)って、こういうスリルのあるカッコいいパーフォマンスに惹きつけられるんでしょうね〜。いろんなサイトを見て回った感じでは、スポーツ観戦として熱く楽しんでいる層もそれなりにいて、これからこのエクストリームバイク(バイクスタント)はさらに人気が出てきそうな気がしました。

 

 

バイクスタント

 

 

バイクスタントの世界へ

 

屋比久 大さん

──バイク好きな人はたくさんいると思うのですが、そこから、この世界に進もうと思うようになった最初のきっかけって、何ですか?

 

一番最初のきっかけですよね? ウィリーという技があるんですが、それをやってみたいと思ったのが最初です。
それで、海外のYouTubeのいろんなバイク動画など見て、さらに興味を持つようになりました。

 

ウィリーとは、バイクのフロントタイヤをあげて走行する技のこと。その他、リアタイヤをあげて走行するストッピーなど、実にさまざまな技があるようです。

 

 

──それで自分もいろんな技に挑戦するようになったと?

 

そうです。自己流で練習して、いろんな技ができるようになっていきました。その過程がとにかく楽しくて。

 

──自分で技を身につけるって、すごいですが、怖くないですか? 怪我することは?

 

あります。どんどん新しい技に挑戦するので、怪我はつきものです。

人に教わりながら練習をしたわけではないので、怪我しないようにする方法なども全然わからず、
練習をはじめたばかりの頃は怪我をすることもありました。でも、今は装備をきちんと揃えているので、ほとんどありません。これまで大きな怪我をしたこともないです。

 

──そうして、練習を続けて、ついには海外の大会に参加したというわけですよね? どうでしたか?

 

やはり海外はクオリティが高いと思いました。

 

──ちなみに、海外の競技に出るときには自分のバイクを持って行くのですか?

 

いえ、日本からバイクを輸送するのはお金がかかり過ぎるので、現地でレンタルしたバイクを使います。レンタルバイクといっても、バラバラになったバイク、いわば部品状態のものを一から自分で組み立てるような感じです。

 

──え~、それじゃ乗り慣れてないバイクで競技に参加するということですよね?
だとしたら、かなり不利ですよね。

 

大会用に自分で組み立てたバイク

そうです。

競技参加に使える休みも限られていたので、組み立てに3日間ぐらいかかって、残り2日で完成したバイクに乗りながら、また調整して…という感じで。正直、練習どころではない状況でした。

そういうこともあって、もっと時間を確保するためにも、プロとしてやっていくことを考えたんです。

※ポーランドの大会出場の際、自分で組み立てたという噂のバイク(写真右)

 

 

実は、屋比久さん、この3年ほどは神戸を拠点に、看護師の仕事もやりつつ、バイクスタントをやり続けてきたのですが、この春から正式にプロスタントライダーとして、バイクスタント一本でやっていく生活をスタートさせたばかりです。

 

 

今後の活動について

 

屋比久 大さん

──プロとしてやっていくことについて、ご家族の方々の反応は? 

 

皆、とても応援してくれてます。ま、母は(競技には危険な部分もあるので)多少渋々の面もあるかもしれませんが。

 

──今後はどういった活動を?

 

競技以外では、エンターテイメントなショウで皆さんの前でパーフォーマンスを披露したり、オートバイ関係のイベントでに出演したりということになるかと思います。

人に喜んでもらうことが、最終的には仕事となっていくと思うので、たくさんの人に喜んでもらえるようなパーフォーマンスをしたいと思ってます。そして、それを続けくことで、プロとして自分の仕事にしていきたいです。

 

まだきちんとした形が確立された職業ではないですが、こうやって自分が進んでいくことで、後輩たちのためにも新しい道をつくっていきたいと思ってます。

 

──そこから後に続く人がきっと出てきますよね。

 

一般的に、バイクのイメージって”危ない”というイメージも少しあると思うんです。

でも、それって、免許をとった後、自分の感覚でそのまま乗っていて、きちんと指導やケアなどをしてもらえる機会がないから、知らず知らず危険な運転などをしてしまっているのだと思うんです。

 

だから、今後、オートバイの正しい乗り方やマナーを教えることができたらいいなとも思っています。若い時って”やんちゃ”に憧れることもあるじゃないですか。でも、そうじゃなくて、本当は正しく乗ることの方がカッコイイということを伝えたいです。それが安全運転やマナーの向上にまでつながっていくといいなと思います。

 

──屋比久さん自身も昔はやんちゃだったんですか?

 

え? そんなことは…(笑)。

 

──ん〜、お話聞いていると、なんだかすごく「人間ができている」感じがします。若い頃からそうだったんでしょうか?

 

いや、若い頃はやっぱりそんなことなかったです(笑)。でも、自分が何かやることで人に喜んでもらいたいという思いは、ずっとありましたね。

 

 

親子でツーショット

▲与那原通だから撮れた(?)親子ツーショットの写真。父親はこの春より与那原町商工会事務局長を務める屋比久智幸さん

 

ちょうど与那原にご滞在中ということで、急きょ決まった今回のインタビュー。

バイクスタントについて、きちんと調べる間もなくお話を伺うことになり、非常に初歩的なことから質問してしまったのですが、嫌な顔ひとつせず、ひとつひとつきちんと答えてくださいました。まさに「好青年」という言葉がぴったりの「ルックスよし!性格よし!」の素敵な人物に久々に会ったな~という印象です。

 

最後に無理を承知で(?)、お父様とのツーショットをお願いしたんですが、「えー、親父と? ちょっと勘弁してください」的な反応があるかと思いきや、多少照れつつも、すんなり写真におさまって、それどころか、「その写真、後で自分にも送ってください」と笑顔で一言!

うん、やっぱり素敵な人だわ。^^ 

 

親子でツーショット

▲「さ〜、そこでお二人見つめ合ってください」と声をかけると破顔一笑

 

皆さん、プロとして新たな世界に挑戦する彼を応援してくださいね。特に沖縄の企業の皆様、イベントなどの機会があれば、ぜひ♪ 彼のパーフォーマンスをぜひ生で見てみたいです。^^

 

写真・文 fuu

 

 

※ 記事内のいくつかの写真(バイクパフォーマンスや競技の様子・組み立てたバイク・プロフィール写真)は屋比久さんよりご提供いただきました。

 

屋比久 大
【プロフィール】

 

プロスタントライダー 屋比久 大(ヤビク ダイ)

 

1984年4月17日生まれ。

兄の影響でバイクに興味を持つ。

16才で免許をとってからは、南部界隈を走ったり、時には辺戸岬まで走ったりしながら、バイクの魅力にどっぷりとハマる。

乗り継いだバイクは30台以上。

 

その後、21歳の時にバイクスタントの道へ。

2009年のコンペティション「JAPAN BIKE NIGHT」などをはじめとして、国内外の大会に参加。

2014年、ポーランドで開催されたSTUND GRANDPRIXでは、総合6位。

 

2016年4月よりプロスタントライダーとして正式にスタート。

大好きなオートバイで世界一になるのが今の目標。

 

■Dai Yabiku Official Site

 →http://daiyabiku.ryukyu/