与那原のイベント-与那原通(よなばるつう)-

美しい音楽と空間を味わう夕べ ──聖クララ教会の新春文化コンサート2015

2015年2月17日(火)

年に一度開催されている聖クララ教会(与那原カトリック教会)の新春文化コンサート。今年は2月11日に行われました。昨年は観客のひとりとしてコンサートの様子をご紹介しましたが、今回、主催者サイドに少しお話が聞けたので、それをお伝えしたいと思います。

 

聖クララ教会については、以下の過去記事も参考にしてください。^^

与那原通「町歩き」記事

 

●響き渡る弦楽器の音色に心癒される

 ──聖クララ教会の新春文化コンサート2014

http://yonabaru-too.com/event/12478.html

 

●与那原で多くの建築家と建築ファンが訪れる場所といえば…

http://yonabaru-too.com/walk/6678.html

 

●聖クララ教会のラサール神父とおしゃべりした話

http://yonabaru-too.com/staff_blog/12002.html

 

 

この新春文化コンサートの主催者は公益社団法人 沖縄県建築士会 島尻支部
すでに何度かご紹介してますが、聖クララ教会は2003年に「日本の近代建築100選(DOCOMOMO100選)」に選ばれています。建築にそんなに興味がない方はピンとこないかもしれませんが、沖縄から100選の中に選ばれた建物は、この聖クララ教会だけといえば、その価値は推して知るべし。

 

◯DOCOMOMO Japan→ http://www.docomomojapan.com/

 

 

根路銘安史さんさて、そんな素敵な建築物が地元にあることをもっと多くの人たちに知ってもらおうとはじめられたのが、この聖クララ教会での新春文化コンサートでした。2007年のことです。その発起人で、当時の島尻支部長でもあった根路銘安史さん(写真右)にまずはお話を伺いました。

 

教会を知ってもらう方法としてコンサートという方法を選んだ理由は「建築に興味がない人にも足を運んでもらいたかったから。コンサートの際には教会や修道院スペースの公開もしていますが、もしも見学だけだったら建築に興味がある人しか来ないでしょう?」。確かにそうですね〜。

そこで、現在の出演者でもある音楽家の海勢頭さんに相談したところ、快く協力してくださり、この新春文化コンサートがスタートしたそうです。最初は教会側にとってもはじめての試みだったので、スムーズにいったとはいい難い部分もあったようですが、年を重ねるごとに周知されるようになり、次第に入場者も増え、今回で9回目を迎えるまでになりました。

 

 

来年はいよいよ10回目。大城満昭さん「もちろん今後も開催されますよね?」という問いかけに関しては、現島尻支部長の大城満昭さん(写真左)が「大丈夫! 続けていきます!」と力強く回答してくださったので、期待してよさそうです。

 

今後の新たな展開として、教会の設計者である片岡献氏について、追跡調査をするようなアイディアも挙っているようです。聖クララ教会といえば「設計は片岡献」と、いろんなところで紹介されていますが、実は片岡氏についての詳細はよくわかってないのだとか。最初は通訳として関わることになったという説もあるようで、興味がそそられます。片岡氏についての新たな情報がわかれば、聖クララ教会やそれにまつわる地元の新たな歴史もひも解かれるかも? 楽しみです。

 

ちなみに、大城さんは昨年まではずっと駐車場係だったため、今までちゃんとコンサートを見ることができなかったとか! 支部長として迎えた今回は、じっくり演奏を楽しまれたでしょうか?

 

 

兼松紘一郎さんもう一人、昨年に引き続き今回も来賓挨拶を担当してくださったDOCOMOMO Japan前幹事長の兼松紘一郎さん(写真右)にもお話を伺うことができました。

 

兼松さんがはじめて聖クララ教会を訪れたのは、日本の近代建築100選に正式に選ばれる前年。知り合いの若い設計士に誘われたのがきっかけで訪れて、非常に感銘を受けたそうです。その後、明治大学の大学院で行われていた文化人類学の渡邉欣雄教授の講座を聴講した縁もあって、沖縄には度々訪れているとか。根路銘さんのお話によれば、実際にこの修道院に宿泊してみたこともあるようで、建物に対する本気度が伺えます。

聖クララ教会の素晴らしいと思うところをひとつ挙げてくださいとお願いすると、「デザインの潔さ」を挙げられました。「建築家というものは、どうしても自分らしさを建物に入れて、自分の存在というものをアピールしがちだが、この聖クララ教会にはそういう部分が感じられない。自然体のままの建築であるというところが素晴らしい」とのこと。

 

 

聖クララ教会外観

▲受付が設置された正面入口より中へ

 

開演1時間前になると、次第に人が増えてきました。演奏前の時間を利用して修道院スペースの見学を楽しむ方も多かったです。この日はテレビ局の取材も入っていて、さまざまな場所で撮影が行われていました。

 

聖クララ教会礼拝堂

▲少しずつ増えてきた来場者。その右奥ではテレビの取材班が撮影中

 

設計図

▲会場に展示してあった当時の設計図

 

 

開演時間は午後7時。お話を伺った大城さん、兼松さん、そして与那原町の當山健教育長の挨拶の後、演奏が始まりました。今年は演奏者全員が女性で(うち2名が与那原町民とのこと)、見た目も非常に華やか。

 

演奏光景
演奏光景

 

プログラムの第一部は、モーツァルトとヴィヴルディの曲で、昨年と同じくクラシック中心。今回はフルートの演奏者が加わっていたこともあり、曲によっては弦楽器だけでなくフルートの音色も楽しめました。

 

この日の演奏者

(※プログラムより)

 

  海勢頭 愛(ヴァイオリン・ヴィオラ)

  新垣 好美(ヴァイオリン)

  石川 文乃(ヴァイオリン)

  吉川 えりな(ヴァイオリン)

  眞榮田 えり子(フルート)

  具志堅 真紀(チェロ)

  奥平 めぐみ(ピアノ)

 

 

演奏光景

▲演奏者と音楽に聴き入る満席の聴衆

 

第二部は、冬の歌メドレーからはじまり、その後は沖縄民謡や(演奏者である海勢頭愛さんの父親でもある)海勢頭豊氏の曲など。その中で、昨年も演奏された「与那原綱引き歌」はやはり素晴らしかったです。力強く軽快な演奏に今回も心を動かされました。また、プログラムにはなかった「アナと雪の女王」の「Let It Go」の演奏もありました。皆、聴き入ってましたね。

 

 

聖クララ教会マリア像第一部と第二部の演奏前に、近くに座られていた方にも声をかけてみました。

 

お一人はなんと嘉手納から来られた方でした。建設業であるお仕事つながりでチケットを購入したのだとか。建築関係者だけあって、日本の近代建築100選に選ばれている聖クララ教会のことはよく知っていたそうです。ただ、実際に中を見たのは今回がはじめて。コンサートについては「ん〜、自分が普段聞き慣れてない音楽だからねぇ、なんとも…」とやや言葉を濁されましたが、建物の見学についてはとてもよかったと話されていました。

 

もうお一人は、現在与那原在住だという男性。この新春文化コンサートははじめて。今回、弟さんに誘われて来てみたとのこと。ただ、修道院に伯母さんがいるので、教会には昔何度か来たことがあるそうです。「昔は安謝に住んでいたけれど、当時、与那原といえばこの教会のイメージだった」とか。「演奏が素晴らしいね〜」とコンサートを満喫しているご様子でした。

 

 

この日はアンコールの2曲を終えて、すべての演奏が終了しましたが、最後にもうお一方ご紹介しておきましょう。

ウェーン神父それは、この日の閉会の挨拶をしたウェーン神父(写真右)。この春こちらに留任された神父さんです。(以前ご紹介したラサール神父は天久のカトリック文化センターに異動された模様。)美しい音楽と共に平和な時間を過ごせたことに対しての感謝の言葉が印象的でした。

 

ところで、このウェーン神父、挨拶の第一声がなかなかうまかったのですよ。それは「え〜、わたしはサンタクロースではありません!」という一言。(いや、どう見てもサンタさんっぽい〜。 ゚д゚) )この最初の一言で会場の人々の心をつかんでいましたね(笑)。

 

 

 

さて、なんだかんだと忙しい日々の中、今年も美しい音楽と空間で心洗われるようなひとときを過ごすことができました。それは、取材の際に何度も耳にした「空間を味わう」という言葉を実感できたひとときでもありました。こうしたささやかな体験が、その空間を愛おしむ気持ちへつながり、聖クララ教会がこれからますます多くの方々に大切にされていく場となることを願っています。

 

 

夜の聖クララ教会
聖クララ教会正面

 

 

新春文化コンサートは来年も2月に開催予定とのことです。まだ行かれたことのない皆さん、機会があれば、ぜひ一度行ってみてください。

 

来年のコンサートの情報は以下のサイト等で。

 ●公益社団法人 沖縄県建築士会 http://shikai.or.jp/

 ●おきなわ建築Web www.okinawa-kentikuweb.com/

 

 

写真・文 fuu